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琥珀色に染まるとき
第12章 幸福な憂心のまま

 粘着質な音と喘ぎ声が部屋に響く。深く、浅く、波のように寄せては引いていく快感に胸が苦しくなってくる。

「あぁだめ、変になっちゃ……」

 イヤイヤと首を振りながらその美しい顔へ手を伸ばすと、腕を掴まれ、彼の首の後ろに回すよう導かれた。

「おいで」

 さらなる快感を思わせる、低い囁き。背中に回されたたくましい腕に支えられ、軽々と抱きかかえられた。上体が密着すると、抱っこの体勢で繋がったまま立ち上がった彼は、どこかに向かって歩き出す。

「んっ、んん」

 歩く振動で最奥を揺さぶられる。下から突き上げてくる容赦のない刺激に、彼の首にしがみついて必死に耐えた。

 リビングをあとにし、連れられた先は寝室だった。薄暗い部屋に、遮光カーテンの隙間から外光が差しこんでいる。
 彼はベッドまで歩み寄ると、涼子を抱えたまま腰かけた。

「涼子」

 優しく名前を呼ばれ、首に巻きつけていた腕をゆるめる。あらためてその吸いこまれるような瞳に向き合えば、自然と唇を重ねたくなる。自ら顔を傾けてそっとキスをすると、ふっと柔らかな笑い声のあと、熱い吐息とともに深い深い口づけを返された。
 熱い手のひらが、流れる髪をすくようにして、頭から背中、腰まで撫で下ろし、尻を掴んで前後に揺らす。

「ん、ぁ……んっ」

 その動きに合わせ、自分のいい場所を彼の鈴口にこすりつけるように腰をくねらせる。彼も感じてくれているのか、重なった唇からは呻き声が漏れる。それがどうしようもなく加虐心を煽る。
 湧き上がる感情のまま、そのたくましい身体を押し倒した涼子は、仰向けの彼の上で垂直の体勢になり、互いの恥骨同士をこすり合わせるように腰だけを前後に動かした。まるで内臓が揺れるような、彼自身に中を揺さぶられるような感覚になる。

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