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琥珀色に染まるとき
第12章 幸福な憂心のまま

「やっ……あ、んっ……」

 努力する――その言葉とは正反対の激しさに襲われ、抗えず、口から出るのは嬌声ばかり。
 たくましい腕の中にきつくとらわれたまま体勢を逆転され、今度は涼子がソファーに背を預ける形になった。見下ろしてくる瞳は熱を帯び、いつの間にか飢えた雄のそれに変わっていた。
 撫でるような手つきで顎を上向きにされ、唇を貪られる。

「んっ、ふ……」

 革と素肌のすれる鈍い音がして、互いの身体はずり下がっていく。ラグにひざをついた彼は、涼子の太ももの裏を掴むと大きく開脚させた。

「あっ」

 大事な場所以外は薄ら素肌が透けて見えるランジェリー。ひそやかに性的な甘い香りを漂わせる、ひんやりと湿ったそこに、彼は顔をうずめた。

「や、やぁっ……」

 濡れた生地越しに感じる熱い吐息、くぐもった唸り声の振動、鼻で深く息を吸う音。すべてが卑猥で、羞恥に気が狂いそうだ。
 その頭に両手を伸ばし、柔らかな髪をくしゃりと鷲掴みにして示す抵抗の意思。だが彼はそこから顔を離すそぶりを見せない。うずめられた顔が蠢くたびに、その高い鼻が敏感な芯をこりこりと刺激する。指とも舌とも異なるするどい感触に、腰が揺れる。

「あっ、あぁ……もう取って、取って」

 ショーツを外してほしいという意図を汲み取ってくれたのか、少しだけ顔を上げた彼は、ショーツの横紐を一瞥してからこちらに目を向けた。乱れた色素の薄い髪の下から覗く、するどいまなざし。冷めているようにも、燃えたぎっているようにも見える、ヘーゼルの瞳。
 彼はいやらしく微笑むと、綺麗に揃った上下の歯で左側の紐を挟み、首を動かしてゆっくりと結びをほどいていく。丁寧に、わざと時間をかけて。

「……っ」

 そんな艶めかしい光景を、涼子は息を呑んで見つめた。

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