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琥珀色に染まるとき
第12章 幸福な憂心のまま

 西嶋の作ってくれたブランチはとても美味しかった。色とりどりのサラダと、目玉焼き、ソーセージ、ポテトスコーンに焼きトマト……。まるでホテルの朝食のようだと素直に褒めると、一人暮らし歴が長いから、と彼は照れながら答えた。
 片づけをしようと椅子から立ち上がると、その隙に西嶋がすばやく食器をまとめてキッチンへ運んでいってしまった。

「あ、私が……」
「いいよ。お前はゆっくりしてろ」

 そう言って微笑み、慣れた手つきで食器を洗い始める。手際のよさはさすがである。バーを一人で営む彼にとっては店の片づけも仕事のうちだろうから、当然といえば当然だが。

 手持ちぶさたになり、なんとなく、涼子は酒棚に歩み寄った。
 飲ませてもらったザ・マッカラン三十年の右隣には、同じ銘柄の十八年物がある。ふと、そのさらに右に佇むボトルが目に入った。
 妙な胸騒ぎを覚えながらも、その理由がわからずにボトルを観察する。蒸溜所の風景を模しているのか、クラシカルなラベルデザインはまるでオールドボトルのようで、良酒への期待感をかき立てる。

「クライ、ゲラキー……?」

 CRAIGELLACHIE――ラベルに刻まれた見慣れない名前を読んでみるが、どう読めばいいのか。なかなか難解である。


――スペイ川を挟んで、ザ・マッカラン蒸溜所の対岸にあるのよ。
――へえ。なんて読むんですか?
――それはね……


「涼子?」
「……っ」

 驚いて振り向くと、そこには心配そうに眉を寄せる西嶋がいた。

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