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わたしの肢体
第1章 新本一花(13)
「おまえはおれのどれいなんだから、ちゃんとおれの言うこときかなきゃだめだろぉ?」

 暗がりにサナエの歪んだ顔が見える。
 同時に、鋭利に斜めに切断された太い針の断面がきらりと光った。
 正確には針、というより、ニードル、と呼んだほうが正しいだろう。


 男の指でしっかり先端を掴まれたサナエの舌の中央を、ぶすりと聴覚のない効果音を立てながらニードルが貫通していく。

 サナエは声にならない悲鳴を喉の奥から絞り出して苦痛に耐えている。
 その声が部屋の中に大きく響けば響くほど、暗がりにゆらゆら揺れる男の股間でぶらさがっているものが角度を増していく。
 
 ニードルの先端が舌裏の粘膜を引っ張りながらあらわれると、喉の奥から漏れる苦痛に満ちた呻き声のボリュームが途端に上がった。
 うぅう、短い呻き声ののち、ぷつり、と何かが破れる音がした。
 それはニードルがサナエの舌を貫通したことを知らせる、音のない音だった。


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