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わたしの肢体
第2章 秋芳 善(15)
「よかった・・・・電気ついてる」
ふと善がクロックスでここまで走ってきたことに気付いたのは、ある古い民家の前まで来たときだった。
チャイムを押す。
2度、3度。
4度目で、ドアが開いた。
中から出てきたのは、ショートカットで痩せ型の、化粧っけのない中年女性だった。
女性はエプロンで手を拭きながら「あら、善ちゃん」と笑顔を浮かべ、大きくドアを開き、善を招き入れた。
「おかあさん」
善は素直に大きな身体を狭い玄関の中へ入れると、女性のことをそう呼んだ。
「おかあさん、悪いんだけど、なんか食べさしてくんない?腹へっちゃった」
善は自分を見上げて優しく微笑んでくれる女性に対し、学校でも家庭でも見せることのない、彼自身が本来持つ子供らしい笑顔を顔いっぱいに浮かべて見せた。
「あらあら、仕方ないわねぇ。最近じゃおうちで作ってもらえないの?」
「作ってくれるけど、居場所ないし」
「まぁ・・・可哀想に・・・」
女性は終始笑顔のまま、台所へ向かった。
善は畳敷の居間へ歩を進め、慣れた様子でテレビの横に飾られたマリア像にひとまず合掌すると、そのまま女性のいる台所へ向かった。
女性は冷蔵庫の中から複数の野菜と、少しの肉切れを取り出し、シンクの調理台へ並べているところだった。
察するに、焼き飯を振舞ってくれるらしい。
ふと善がクロックスでここまで走ってきたことに気付いたのは、ある古い民家の前まで来たときだった。
チャイムを押す。
2度、3度。
4度目で、ドアが開いた。
中から出てきたのは、ショートカットで痩せ型の、化粧っけのない中年女性だった。
女性はエプロンで手を拭きながら「あら、善ちゃん」と笑顔を浮かべ、大きくドアを開き、善を招き入れた。
「おかあさん」
善は素直に大きな身体を狭い玄関の中へ入れると、女性のことをそう呼んだ。
「おかあさん、悪いんだけど、なんか食べさしてくんない?腹へっちゃった」
善は自分を見上げて優しく微笑んでくれる女性に対し、学校でも家庭でも見せることのない、彼自身が本来持つ子供らしい笑顔を顔いっぱいに浮かべて見せた。
「あらあら、仕方ないわねぇ。最近じゃおうちで作ってもらえないの?」
「作ってくれるけど、居場所ないし」
「まぁ・・・可哀想に・・・」
女性は終始笑顔のまま、台所へ向かった。
善は畳敷の居間へ歩を進め、慣れた様子でテレビの横に飾られたマリア像にひとまず合掌すると、そのまま女性のいる台所へ向かった。
女性は冷蔵庫の中から複数の野菜と、少しの肉切れを取り出し、シンクの調理台へ並べているところだった。
察するに、焼き飯を振舞ってくれるらしい。

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