この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わたしの肢体
第2章 秋芳 善(15)
善は部活の練習に出たいがために、ちゃんと授業を最後まで受けた。
善が3年間1日も学校を欠席しなかった理由はそれだけで、それ以上でもそれ以下でもない。
放課後は身体が弾んで仕方がない。
部室で仲間たちと合流し、着替えてグラウンドに出る。
黒いTシャツの背中には黄色い文字で"NO RUGBY, NO LIFE"とプリントしてある。
そのTシャツは善の代名詞といっても過言ではない。
下に着用している黒いカンタベリーの短パンは父親から譲り受けた。
地元のスクールでボランティアコーチをしていた頃のものらしく、だいぶくたびれてしまっているが、それでも善は気に入って毎日着用している。
なぜなら、その短パンを穿いているあいだだけは、自分が父親の本当の息子だと思える気がするからだ。
だから善は泥だらけになって、脱臼骨折を繰り返してもなお、グラウンドを走り続ける。
例え仲間たちが素行不良の集まりで、まるで練習にやる気がなく、試合で一度も勝てた試しがなくても、初めて父親に連れられグラウンドに立った日からずっと、自分の存在意義を見出すために。
「ただいま」
夕日が沈んだ頃、善は泥だらけで帰宅した。
手に持った泥だらけのスパイクを汚れたスニーカーが山のように積み重なった玄関に放り投げ、リビングへ足を進める。途中、汚れたストッキングを片足ずつ脱ぎながら。
善が3年間1日も学校を欠席しなかった理由はそれだけで、それ以上でもそれ以下でもない。
放課後は身体が弾んで仕方がない。
部室で仲間たちと合流し、着替えてグラウンドに出る。
黒いTシャツの背中には黄色い文字で"NO RUGBY, NO LIFE"とプリントしてある。
そのTシャツは善の代名詞といっても過言ではない。
下に着用している黒いカンタベリーの短パンは父親から譲り受けた。
地元のスクールでボランティアコーチをしていた頃のものらしく、だいぶくたびれてしまっているが、それでも善は気に入って毎日着用している。
なぜなら、その短パンを穿いているあいだだけは、自分が父親の本当の息子だと思える気がするからだ。
だから善は泥だらけになって、脱臼骨折を繰り返してもなお、グラウンドを走り続ける。
例え仲間たちが素行不良の集まりで、まるで練習にやる気がなく、試合で一度も勝てた試しがなくても、初めて父親に連れられグラウンドに立った日からずっと、自分の存在意義を見出すために。
「ただいま」
夕日が沈んだ頃、善は泥だらけで帰宅した。
手に持った泥だらけのスパイクを汚れたスニーカーが山のように積み重なった玄関に放り投げ、リビングへ足を進める。途中、汚れたストッキングを片足ずつ脱ぎながら。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


