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わたしの肢体
第1章 新本一花(13)
しゅうちゃんがサナエの乳首に貫通したニードルをまとめて握りしめ力いっぱい手前に引っ張ったとき、六畳間と台所を遮断する襖戸の影に身を隠していた一花はようやく胸のあたりから猛烈な吐き気がこみ上げていることに気が付いた。
断末魔の叫びのようなサナエの絶叫が家中を支配する。
一花は思い出したかのように慌てて手を当てて両耳を塞ぎ、そして初めてピアスを開けた時の痛みを耳たぶに残る記憶から反芻して声が止むのを待った。
数秒後ふたたび訪れた束の間の静寂。
手のひらのなかに、一花の重苦しい鼓動が響く。
一花は帰宅してすぐ玄関の猫の額ほどのたたきにしゅうちゃんのスニーカーが脱ぎ捨てられているのを目にした時から、耳たぶに貫通させたステンレス製のピアスを掴み、物陰からそっと事の成り行きを息を潜めて見守り続けていた。
けれども、精神より先に体調のほうに限界が訪れたのかも知れない。
一花が脱力感に満ちた溜息をついて深く俯くと、自分が身に付けている紺色のセーラー服の襞スカートが見えた。
このあとのことは覗かなくたって、わかる。と、一花は考える。
断末魔の叫びのようなサナエの絶叫が家中を支配する。
一花は思い出したかのように慌てて手を当てて両耳を塞ぎ、そして初めてピアスを開けた時の痛みを耳たぶに残る記憶から反芻して声が止むのを待った。
数秒後ふたたび訪れた束の間の静寂。
手のひらのなかに、一花の重苦しい鼓動が響く。
一花は帰宅してすぐ玄関の猫の額ほどのたたきにしゅうちゃんのスニーカーが脱ぎ捨てられているのを目にした時から、耳たぶに貫通させたステンレス製のピアスを掴み、物陰からそっと事の成り行きを息を潜めて見守り続けていた。
けれども、精神より先に体調のほうに限界が訪れたのかも知れない。
一花が脱力感に満ちた溜息をついて深く俯くと、自分が身に付けている紺色のセーラー服の襞スカートが見えた。
このあとのことは覗かなくたって、わかる。と、一花は考える。

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