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eyes to me~ 私を見て
第57章 さよなら、私の②

目の前に翔大がいる。
二度と会う事は無いと思っていたのに。
あの夜、身体も心も力で押さえ付けられた。彼を激しく憎んだ。悲しくて堪らなかった。
昔大好きだった、"しょう君"
初めての"恋人"で、文字通り何もかもの初めてを捧げた人。
別れた時には傷付いたけれど、綺麗な思い出だけを心の奥底にしまっていた様な気がする。
その思い出を、あの夜に破り捨てられた様な気がしていた。
翔大の顔を、じっと見つめてみる。
優しい輪郭に笑うと下がる目尻、綺麗な形の唇――
昔と何も変わっていない。
けれどもう、お互いに色んな事が変わってしまっている。
不思議と、翔大に対してもう怖さは感じなかった。
ただただ、懐かしさが込み上げた。
「しょう君……」
「ん……?」
手を握り合ったまま、美名が呼ぶと翔大は首を傾げる。

