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eyes to me~ 私を見て
第57章 さよなら、私の②

涙が突然込み上げた。
「私……なら、何でも……出来る、て思う?」
「出来るさ」
「――私、私……でも……剛さん……に嫌われたかも……っ」
他にも何かを言いたかったはずなのに、綾波の事を口走っていた。
「どうしたんだよ?」
「……わから、ないの」
「何だよそれ」
翔大は泣く美名の額を軽く指で叩く。少し身を屈みゆっくりと言った。
「美名と初めて会った時……威勢のいい女の子だなって思ったんだ。覚えてるだろ?」
バンドメンバーと仲違いして、メンバーに去られて半分ヤケになっていた翔大。
美名は初対面なのにいきなり
『私じゃダメ?』
と申し出た。
渋る翔大に
『だったら、試してみましょう』
と啖呵を切って、翔大を強引に引っ張って代々木公園まで行き、そこで路上ライヴをやって見せた。

