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eyes to me~ 私を見て
第55章 独りぼっちの歌姫

菊野の声が掠れ気味で、まさか泣いているのだろうかと心配になり、スマホを持つ指に力が入る。
『剛さんは若いんだし……すぐにいい人を作って幸せになれる、て思ってた……
でも……次の年にも 、また次の年になっても、そのまた次の年になっても……剛さんからの連絡は来る事はなかったわ。
剛さんが祐ちゃんのバンドのマネージャーをする様になって、祐ちゃんに様子を聞いたりしても……
返ってくるのは
"アイツ、あの性格のままじゃ誰とも結婚出来ないよ?"ていう言葉ばかりでね……
うふふ……昔は、剛さんの背中を追いかけてばっかりだったのにね』
「まあ……」
クレッシェンドの西本は"爽やかな王子"という印象で、そんな悪い言葉は言わないと勝手に思っていたので、その意外さに驚くと共に
(確かに……初対面の時は何て酷い男なの、て私も思ったわ)
と、笑いが溢れそうになった。

