この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~ 私を見て
第55章 独りぼっちの歌姫

(……聞いてしまった……)
緊張で喉の渇きと身体の震えを覚えながら菊野の返事を待った。
菊野は何秒か置いて静かに答えた。
『……そうね……昔に……』
喉に何かとてつもない熱い物が込み上げて咳き込みそうになるが、なんとか堪えてみせる。
「あ……あの……菊野さんは……今でも剛さんを?」
『いいえ……もう、それはあの時に終わったのよ』
「……」
『剛さんと11年振りの再会だったのよ……私』
「えっ……」
『11年前に……別れた時に……次に会うときは、剛さんが心から大切に思う人を連れてきてね……
て、私言ったの……
その言葉に剛さん、物凄く怒ってたわ…… 』
「……」

