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eyes to me~ 私を見て
第55章 独りぼっちの歌姫

彼がピアノを弾く姿が好きで、美名は『何か弾いて』とよくねだった。
しなやかな指がメロディーを奏で、美名が合わせて歌うと、綾波は突然弾くのを止めて美名を抱き上げてベッドまで連れて行った。
その度に美名は
『もっと聴きたいのに!』
と怒って彼の胸を叩くが、甘い口付けで敢えなく黙らされてしまった。
『横で……あんな顔をしてあんな声で歌われたら……正気で居られる訳がないだろう』
狼狽える美名の鼻を摘まみ、綾波は僅かに頬を紅くして言ったのだ。
『いいか……あんな風に歌うのは……俺の前でだけだからな』

