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揺れる恋 めぐる愛
第13章 動揺と安定

大希さんの少し暖かい身体越しに、
くぐもった声で人が言い争っているような……
でもどうでもいい。今はとにかく怖い、嫌だ。
あの人から逃げたい……
歯を食いしばり走馬灯のように襲ってくる
心の痛みをただやり過ごしていた。
「女将、ちょっと奥借りるぞ」
「えっ???あっ、はい」
私の身体が急に宙に浮いた。
びっくりして、抱きかかえる大希さんの顔を
薄目を開けてそっと見る。
私を抱き上げて、チラリとたまたまこちらを見る険しい顔。
目の開いた私に眉根を寄せるとそのままゆっくると歩き始める。
少し背中がヒヤッとした。
それでも力強い腕に支えられて連れていかれる。
すこしすると立ち止まり私の身体をそっと下ろして、
自分はすぐ横に腰掛ける。
小上がりの座敷?なのか彼の腿が頭上にあった。
何かが覆いかぶさるような気がして、
身体をびくつかせると少し離れてくれた。
それからゆっくりと耳元に口を寄せ、やさしく
「ののか。大丈夫か?」
と囁かれる。乱れた心のままで返事ができずにいた。
「どうする?帰ろうか?」
まだ大丈夫じゃないけど……
でも帰るのは違う……
それは絶対に違うと思う。
私は首をぶんぶんと横に振り始めるとすぐに
両手で柔らかく包み込むように止められた。
くぐもった声で人が言い争っているような……
でもどうでもいい。今はとにかく怖い、嫌だ。
あの人から逃げたい……
歯を食いしばり走馬灯のように襲ってくる
心の痛みをただやり過ごしていた。
「女将、ちょっと奥借りるぞ」
「えっ???あっ、はい」
私の身体が急に宙に浮いた。
びっくりして、抱きかかえる大希さんの顔を
薄目を開けてそっと見る。
私を抱き上げて、チラリとたまたまこちらを見る険しい顔。
目の開いた私に眉根を寄せるとそのままゆっくると歩き始める。
少し背中がヒヤッとした。
それでも力強い腕に支えられて連れていかれる。
すこしすると立ち止まり私の身体をそっと下ろして、
自分はすぐ横に腰掛ける。
小上がりの座敷?なのか彼の腿が頭上にあった。
何かが覆いかぶさるような気がして、
身体をびくつかせると少し離れてくれた。
それからゆっくりと耳元に口を寄せ、やさしく
「ののか。大丈夫か?」
と囁かれる。乱れた心のままで返事ができずにいた。
「どうする?帰ろうか?」
まだ大丈夫じゃないけど……
でも帰るのは違う……
それは絶対に違うと思う。
私は首をぶんぶんと横に振り始めるとすぐに
両手で柔らかく包み込むように止められた。

