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それでも大好きなんだーっ!
第5章 大和撫子、豹変⁉︎
………………

もあの騒ぎから人が集まり始め、

室内でこちらを眺めて笑う者や、

廊下からヒソヒソと囁き合う者…

そんな野次馬の声すら、うさこの告白に静まり返った。


鼻息荒く告白したはいいけれど、グチャグチャな頭ではその後のプランが立てられていない。

縋るように翼を見遣るうさこだが、そんな翼も次の句を探して瞳を揺らす。


「ふふっ…」

静寂を破ったのは、多佳子の笑い声。

その声はどんどん大きくなって、催促するような多佳子の視線を受けた野次馬も笑い出す。


「負け犬は放っておいて…私と楽しも?」

多佳子の言葉に、

野次馬たちの嘲笑に、

うさこの顔が一気に赤くなる。

それは、

照れた赤ではなく、傷付けられた赤。


「多佳子!」

うさこの表情に気付いた翼が慌てて止めれば、

「図星?翼も困ってたじゃない」


───…”はっきり振ってあげたら?”


多佳子のその言葉が、うさこの頭の中を真っ黒く塗り潰した。


「つ、つーくんは、私の彼氏です!他の子と…ええエッチなんて、許しません!」

叫んだ後でハッとして、うさこの頭の先から血の気が引いていく。


「うさ?」

翼の声にビクッと肩を揺らしたうさこ。

翼の方が見れなくて、俯いて唇を噛みしめる。


(バカバカ!それじゃあ付き合う条件を否定してるじゃない!じゃなくて、浮気は許すけど覗くのは無理だっていう妥協案を…)

必死に頭の中を整理するうさこを急かすのは、

「あははっ、彼氏?バカじゃないの?翼は変わり者のアナタが面白かったから遊びに付き合ってやっただけでしょ。自惚れてんじゃないわよ」

多佳子の刺々しい言葉たち。


「私と翼の真っ最中を覗きに来て、いきなり鼻血吹いて倒れた子よね?インパクト抜群だものね。

更には覗きを条件に付き合いたいって言ったのよね?毎日に飽き飽きしていたあの頃の翼には爆笑ものの面白さだったんじゃないの?」


多佳子の言葉はまさに図星で…

傷付いたうさこに掛ける言葉が、翼には見つけられない。


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