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いつ見きとてか 恋しかるらむ
第3章 『 抹茶 水ようかん 』

『ご主人様の深いため息が聞こえてきて
「私の命令には従えないということだね。」
重みのある声に反応して、私は顔を上げた。
冷たい視線が私に注がれて、固まる……。
「……仕事中は、仕事に集中したいんです。」
「私は、仕事中でも恥ずかしい思いをさせたいんでね。」
血の気が引くということはこういうことか……。
頭がクラクラしてきた。
「どんなことがあっても、主に従うのが当たり前だから。」
そう言って、立ち上がって扉へと歩いていく……。
確認したくはなかったけれど……
「私は……、私はどうしたらいいんですか?」
「合わないのだから、終わりだ。」
その声のほうを見たけれど、開いた扉だけが目に入っただけで、もうご主人様の姿はそこにはなかった……。
涙がじんわり溢れたけれど、店員の姿が目に入ったので慌ててうつむいた。
「食後のお飲み物は?」
「あっ、コーヒーで。」
オーダーを聞いて店員が立ち去ったのを確認してから、私は、かまうことなく泣いた。
どうしてわかってもらえないんだろう……。』

