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いつ見きとてか 恋しかるらむ
第2章 『 シフォンケーキ 』

Sachiさんのブログによって、あの小学生の夏の日が蘇った。
わたしの求めるもの。
それは、被虐というもの。
鳴りを潜めたといっても、自慰の時の想像はどうしてもそちら側になってしまう。
普通の性交を想像して、淫乱になるのは難しかった。
通勤電車に乗っていて、後ろにいる男性に少しずつスカートをめくられ……。
彼の手は、最初は優しく丸くわたしの臀部を撫で回していたのに、突如、強く鷲掴みされる。
少し跳ねた体の反応を見逃さず、彼は
「痴漢されて感じるの?」
と粘り気のある声で囁いた……。
そういうシチュエーションで、わたしの体は濡れていく。
ただ、それはあくまでも妄想の世界のこと。
実際は、仕事に忙しい夫と体を重ねることすら難しい状態だ。
インターネットのおかげで、手軽にアダルト動画は観ることができる。
でも、正直、男性の都合によって作られたものだと思わないでもない。
だから、Sachiさんのブログはとても新鮮だった。
そこには、リアルなSMの世界があったから。
わたしは……会ったこともないSachiさんに自分の気持ちを伝えたくなった。
忘れていた……官能の世界を思い出せたこと。
Sachiさんの書いていることが自分の望みだったこと。
そして、Sachiさんの経験をとてもうらやましいと感じたこと。
ブログを開設したことによって、Sachiさんの限定記事を読むことができた。
それは、本当に小さなキッカケだったと思う。
だったら、自分の思ったことをSachiさんに伝えることも…なにかの小さなキッカケになるんじゃないかと……わたしは思った。

