この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いつ見きとてか 恋しかるらむ
第2章  『 シフォンケーキ 』


すっかり冷めてしまったロイヤルミルクティーを啜りながらわたしは、窓に目を向けた。


雨は強く、雨粒は窓にぶつかっていた。
水滴と水滴が手を繋ぎ、大きくなり、
あっという間に落ちていく。


すぐ来るはずのない申請許可を待つわたしは、
彼の電話を待ち焦がれる彼女のようだった。


ロイヤルミルクティーを飲み切って、
私は、キッチンへマグカップを持っていった。


お天気がよかったら、散歩を兼ねて図書館へ出かけたりランチを食べるために、街を散策できたのに。


しっかり降り続く雨が恨めしかった。


ベランダに出る気はなかったけれど、
外気を取り入れたくて、ガラスの扉を開けた。


レインコートに長靴姿の小さな子どもの手を引きながら
早足で歩くお母さんの姿が目に入った。


子どもは、雨が嬉しいのか、大きく足を上げながら歩いている。


家の中にいるわたしは、濡れることはない。
濡れるという不愉快さがなく、雨のしっとりとした空気をゆるゆると味わう。


贅沢だな……。


家の中にいて、退屈だなんて。


雨の中、仕事に出かけることもなく、
子どもを連れて歩くこともなく、
外に出たくなければ、出なければいいだけ。


自分自身を持て余しているのは、
自分のせいでもあるのに。


大きく息を吐き出した。


今日の空模様と一緒。


わたしは、鬱々とした心持ちだった。


わたしは、ふと思いついた。


パソコンの前に移動した。


タイトルには、
「はじめまして。」
と、入力した。

「今日は、しっかりした雨が降っています。
こんな日に、ブログを始めました。
これが書きたい!という目的はありませんが、
いろいろなことを書きたいと思います。」


入力し、誤字脱字がないか読み直した。


確認する…というボタンをクリックした。


わたしの……Akenoとしての初ブログ。


些細なことでもいいから、
書き始めようと思った。


なにもしないよりは……きっといい。


わたしの日常はモノトーンで味気ない。
そこに少しだけ……色を足せるような気がした。



/67ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ