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LowとChaosの間…
第21章 勇者vs魔王
「お前様ぁ!」
泣きながら叫び紅蓮に歩み寄る麒麟。
紅蓮は笑う膝で立ち上がる。そして妻に腕を伸ばし体を引き寄せた。
「男の戦いに助太刀するな……」
死を目の前にして妻の感触は愛おしい。
それでも、次の瞬間には再び迦具土を構えた。

「……教えてくれ…どうすれば、お前を倒せる?」
目の前の敵に感服した。
その男は単身で魔人たちを薙ぎ払い。多対一をものともせず挑んでくる。
手負いの男を三人がかりで倒したはずだった。

男は立ち上がり、強い瘴気をたぎらせ、紅蓮を睨みつけた。
「……まだ終らんよ」

「に、人間じゃない……」
麒麟が怯え、言葉を失う。

甲板の魔人たちが一斉に構え出した。
対した者達は、誰しも麒麟と同じ感想を抱く。
これだけの攻撃を喰らってなお立ち上がる。人間を捨て、魔人と化したのではないか。

―-命と引き換えに長距離砲を破壊する
勇樹は手榴弾を取り外す。
『魅春はどうする!? 金剛家は!?』
無双正宗が狼狽した心声を発する。
主の命令は次期皇帝と皇女の救出。それでも、第一は愛する妻と母だ。こんなところで死を選ぶ男ではない。そして、彼が死ねば無双正宗も妖気が抜け鉄の塊となる。
―-衝撃に備えろ
『バカ野朗!』
無双正宗は主を罵った。俺は動けないのだ。
「帝都に放たれる砲火……」―-撃たせるワケにはいかん。
思わず心声に対し、口にしてしまう。
彼の考えでは次期皇帝紫苑誠が魔王紅蓮を倒し、ニョルミルを阻止、皇女を無事に救助する。その二人を脱出させるというシンプルな計画だった。
現実は目の前で紫苑が魔王に破れ、自身が魔王と戦い、ニョルミルからゲイボルグに変わった砲火を防がねばならない。
ジャスティスの武装が強力だとは知っていたが、まさか自軍の兵器に対抗できる術がないなどとは思いもよらない。
(二川閣下め……)
天津帝国海軍は陸軍の外局と蔑まされる傾向があった。互いにクーデターを起こしてもけん制しあえるはずなのだが、たった一隻で国を脅迫できるとは。



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