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イケない秘め事
第10章 騒動
たぶん、母さんもどう接していいかわからず、気丈に振る舞ってる。
ほんとは、泣き叫びたい。
けど、それをしたら、いけない。
だから、自分を閉じ込める。

行け

俺が、目で合図する。

「うん!行く!」
「じゃ、悠祐、ショッピングセンタービまで、乗せてって!」
「はっ?!」
「だって、暇でしょ?」

俺は、車に乗り込み、ショッピングセンターまで連れてった。中で待とうとしたけど、荷物係りに任命され、渋々後についていった。
愛美も、まだ正直戸惑ってる。時々、俺を見てくる。でも、こうなってしまったのは、俺の責任だし、今は何も言えなかった。
翌日から、俺は、仕事仕事の合間に、不動産屋に出向き、アパートを探した。自宅からも職場からも遠い場所にした。
探し始めた事を、それとなく母さんには、言った。父さんには、母さんから、言ったらしく、

「資金、足らなかったら言えよ。出すから。」

その優しさが、逆に苦しい。

愛美にも話したが、アイツは、俺がいなくなる事にショックを受け、部屋に閉じ籠った。学校には、行ってるらしいが。

アパートを探し始めて、二日め。不動産屋から電話があり、手頃な物件が見付かった。直ぐに俺は、手続きをし、バタバタしながらの引っ越しとなった。

引っ越し当日の朝。俺は、愛美の部屋にいた。愛美は、泣いていた。俺は、愛美を抱き締め、頭を撫でた。

「お兄ちゃん。どうしても行っちゃうの?」
「あぁっ。」
「帰ってくる?」
「いつかな。」
「愛美も行きたい。連れてって!」
「無理。」
「どうして?嫌いになったの?」
「違うよ。愛美の事は、好きだよ。」
「じゃ、どうして連れてってくれないの?」

ハァッ…
俺は、ため息をついた。最近の愛美は、俺といる時、自分の事を愛美という。気付いてないのか。

俺は、愛美抱き締めて、

「毎日、メールするから。」
「うん。電話もしていい?」
「いいよ。仕事中は、出れないけど。」
「うん。わかった。」
「愛美?」
「ん?」

俺は、愛美にキスをした。
長い時間が流れた。
その時、廊下で足音がしたが、直ぐに消えた。たぶん、母さんが心配してきたんだろうけど。
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