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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 あろうことか、楓の居間で、良人が若い女と話していた。女は庭に跪いていたが、見たところ二十代前半くらい。黒髪の艶やかで色白の美しい女だ。女にしてはやや大柄な身体を葡萄茶色の小袖で包んでいる。
「―!」
 楓は予想さえしていなかった光景に鋭く息を呑んだ。自分のヒュッと息を呑む音が聞こえた。
「では」
 美貌の臈長けた女は時繁に一礼し、風のように走り去った。
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