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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 顔は見ずとも、一人はそも誰であるかは判った。時繁に違いない。しかし、今ひとりは誰なのか? 声そのものは低くもなく高くもなく、男か女か判別はつかなかった。
 そこで楓は足を踏み出していた。時繁が人知れず親しげに言葉を交わしている相手を突き止めずにはいられなかった。が、次の瞬間、彼女は我が身が取った行動を心から悔いた。
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