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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
「楓」
 時繁が物言いたげに見つめてくる。楓は夢中で首を振りながら、一歩後ずさった。
「頼む、俺の話を聞いてくれ」
 間合いをつめながら、時繁が近づいた。室内にまで追いつめられ、楓は観念したように眼を閉じた。それから可能な限り、心を落ち着かせ口を開いた。
「あの方はどなた?」
 時繁は見られた以上、隠すつもりはないのか、意外にあっさりと応えた。
「鈴音(すずね)と申す者だ」
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