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やさしいキスをして?
第10章 番外編

「園山さん!」
これだけ座り込んでて掛らない声。振り向いたって、誰も居ない。三島くんは帰ったんだ。当たり前だよね?逃げたのは私なんだもん…
『…ふふ』
こんな傷じゃ泣けないんだってば。
むしろカッコ悪くて、笑っちゃう。
──こんなに痛いのに…
『はは…バカみたい』
──痛くて痛くてたまらないのに…
いっそ、大ケガでもして大泣きすれば…少しは気が紛れたのかな?それとも、もう一度、三島くんが追ってきてくれてたら…この痛みは消えてくれたの?
『分かんないわよ、もう…』
自分の気持ちも、三島くんの気持ちも、ぐちゃぐちゃで分かんない。ただハッキリと、胸の痛みだけが強く強く残っていった。

