この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
やさしいキスをして?
第10章 番外編

勢いよく体育館から飛び出してきたその女子は、園山さんと短く話し。すぐさまグラウンドに向かって、大きく手を振った。
『ゆうひー!やったねー!』
それに飛びつくように走ってきた男子…あれが、“ゆうひ”だろうか?
二人がハイタッチするなど盛り上がる中、園山さんはそっとその場を離れ…近くにあるウォータークーラーの影に隠れてしまった。
(………!)
ほんの数メートル先。かけ寄れる距離に彼女は居たけど。…僕は話しかけることを諦め、その場を去った。
「ハッキリ言った方がいい」
「自分が可哀想だわ」
そう言っていたあの日の彼女。
その彼女は今日、誰にもバレぬよう身を隠し。ウォータークーラーの影で、たった一人。声を殺して…
『………ズズッ//』
泣いていた。
僕は、それからずっと…
ずっと彼女のことを……

