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やさしいキスをして?
第10章 番外編


勢いよく体育館から飛び出してきたその女子は、園山さんと短く話し。すぐさまグラウンドに向かって、大きく手を振った。


『ゆうひー!やったねー!』


それに飛びつくように走ってきた男子…あれが、“ゆうひ”だろうか?
二人がハイタッチするなど盛り上がる中、園山さんはそっとその場を離れ…近くにあるウォータークーラーの影に隠れてしまった。


(………!)


ほんの数メートル先。かけ寄れる距離に彼女は居たけど。…僕は話しかけることを諦め、その場を去った。


「ハッキリ言った方がいい」
「自分が可哀想だわ」


そう言っていたあの日の彼女。
その彼女は今日、誰にもバレぬよう身を隠し。ウォータークーラーの影で、たった一人。声を殺して…


『………ズズッ//』


泣いていた。


僕は、それからずっと…
ずっと彼女のことを……





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