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第10章 番外編

『お待たせしました』

『ありがと…んん？』


三島くんが店員のようにスマートに運んで来てくれたトレーの上には、やけに飲み物が多く乗っていた。


『あ、コレは試飲です。』

『試飲？』

私の視線に気づいた三島くんは、にこやかに教えてくれる。…ふふ、今日はたくさん笑ってくれて、嬉しいな。

『豆を選ぶ前に飲み比べが出来るんですよ。ちょっともらってきました。』


そう言って小さなカップを一つ、手渡してくれた。


『無理はしなくていいですが…これなら園山さんも飲めるかと思って、作ってもらいました。』

『え、私に？これもコーヒーなの？』

『はい、残してもいいですよ…あ。』

『ゴクン………あれ、お茶みたい？』


勧められたコーヒーは麦茶みたいな香ばしい香りで、私の嫌いな独特の苦味がしなかった。