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やさしいキスをして?
第10章 番外編


『でもホント…妬けちゃったな。ゆうひくんには!』

手元の缶を見つめながら、私はふと幼い日のことを思い出す。

『ん?おれが何て??』

『……覚えてる?小学生の時、私がゆうひくんに言った言葉。“もしも私が男だったら、きっと ゆうひくんとは友達になれなかった”…って言ったこと。』


懐かしい記憶。それは二人と仲良くなって一年後、私の引越しが間近に迫っていたあの頃のこと…


『え〜何それ?あたしそんなの聞いたことない。初耳ー!』

『あ…あー!何か覚えてるぞ、それ!確か、マドちゃんが引越すって話を聞いた時だ。二人には感謝してるって言いながら、こっそりおれにだけ 変な なぞなぞ出してきたんだよ。……んで?結局あれは、どういう意味だったの?答えは教えてくれなかったよな?』


「転校したくない」「引越ししたくない」「あさひちゃんと離れたくない!」そう言って毎日両親を困らせて。挙句に「マドカちゃんとサヨナラしたくない!」なんて、あさひまでウチへ押しかけて来る始末。あんなわがままは最初で最後だったって…今でもお母さんに言われる位、食い下がったんだっけ。



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