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Only you……
第7章 麻都 4

「そんなこと言わなきゃ分からないの?」

「当たり前だろ。以心伝心なんて存在しないんだ」

俺は明が何を言うつもりなのかじっとその顔を射るように見ていた。

明は俺の双眸を見つめると、悲しそうに溜息をついた。そしていつまでも睨んでいる俺の瞼に手を置き、暗闇に追い込む。明と俺の、呼吸だけが聞こえてきた。

「……してる」

耳を澄ましていたにもかかわらず、聞こえなかったので、俺は「えっ?」と聞き返した。

明は咳払いをすると深呼吸をするかのように息を吸い込んだ。

「愛してるよ!!!」

どこか投げやりなその言葉に、俺は目を剥いた。投げやりさには照れ隠しが含まれているのか、本当にいい加減な台詞なのかまでは感じ取れなかった。

俺は「ふっ」っと鼻で笑った。明の言葉を鵜呑みにすることはできなかったからだ。

「何だよそれ……」

思わず飛び出た俺の言葉に、明は怒ったような表情を浮かべる。

「麻都はオレを、愛してくれないの?」

「……」

目を合わせられなかった。その行動は、明の不安を肯定してしまったようなものだった。

沈黙が流れた。部屋の空気が急に重苦しく、冷たいものに感じる。それもそうだ。俺の周りにある暖かい空気は、全て明が運んでくれたもの。その明が、今は冷たいものしか発していない。

明のうな垂れる姿に、さすがに胸が痛んでくる。

「……明日、一緒に病院に行ってくれないか……?おっさんが、入院したんだ」

「……入、院?」

俯いたまま、明は呟いた。

明にはおっさん病気について何も話していなかった。

「怪我? 病気?」

上目遣いに視線を上げ、俺の顔を静かに見つめる。不安そうな瞳が俺を捕らえた。
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