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Only you……
第7章 麻都 4

寝室に辿り着くとベッドの上へダイブした。大きく波打ちやがては静かに落ち着いてゆくベッドは、俺のこれからを表しているのだろうか。枕に顔を押し付け息を殺してうずくまった。
「麻都……どうした?」
明がベッドの脇に座り込み、俺の腕に触れた。俺は払うことも、受け入れることもせずに黙っていた。その手はやがて肩をすべり背中へと辿り着き、優しく行き来する。
「今朝……いなかった」
「うん、ごめんな。もう出ないとバイトに間に合わなかったんだ」
明の吐息が俺の耳に微かに当たる。
「嘘だ」
「本当だよ。麻都帰ってこないんだもん」
俺は単なるだだっこだ。子供返りどころか、幼児返りだった。
「……俺のことなんか、愛してないんだ」
「……」
頭上で明の溜息が聞こえた。俺はやはり、愛されていないんだ。
「なんで……」
背中を滑っていた手が止まった。そしてギュッと肉がつままれる。
「なんでそういうこと言うかな!」
「痛っ!!」
俺は痛みに飛び起きると、その勢いでベッドから転がり落ちた。膝から下だけがベッドの上に残り、今から腹筋のトレーニングでも始められそうな体勢だ。
「イテテテ……」
俺が後頭部をさすっていると、明がベッドを回ってやってきた。
「そういうこと言うから、天罰だっ」
俺の横に、明はすとんと座った。
「じゃあ、答えろよ」

