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Only you……
第7章 麻都 4

俺は自分を嘲笑った。

「ふっ……この前までは、俺が書いていたのにな……」

何だか虚しさが込み上げてきた。

本当なら、昨日の夜家を飛び出した段階で怒られても仕方がないはずだ。それが朝食まで用意してもらえたのだ。それなのに、俺の心は晴れない。――晴れないどころか、むしろ怒りにもにた感情さえ浮かび上がっていた。

――なんで俺が温めなきゃいけないんだよ。

――こんな大変な時に。

――何が起きてると思ってるんだ。

――これからどうするつもりなんだ。

この想いが理不尽なもので、明に矛先を向けることが間違っているのは分かっている。それでも俺は、明以外に頼ることが出来ないのだ。そんな風に怒りを向けることでしか、甘えることが出来ないのだ。なんて幼稚なんだろう。それでも、俺は拳を握り締めていた。


――なんでいないんだよ。


俺はソファにどかりと座り込むと、大きく溜息をつき頭を抱えた。どうしたらいいのか分からなかった。愛についての答えは、どうすれば出るのか。そんなことは、学校では教えてくれなかった。俺は恋について、会社に入ってりんに教えられた。言い寄ってくる者は拒まず、去っていく者にも躊躇いはなかった。そんな俺に異議を唱えたのはりんが最初で最後だった。

――りん……また答えをくれるだろうか……。

結局、俺には何もないのだ。

みんなが知っていそうな愛だの恋だの、そんなことは何にも知らない。見せ掛けの知識しか持ってはいない。できることは誰かに甘えることだけ。

――最低……。

軽く冷たいシャワーを浴びると、明が残していった朝食に手をつけようと思ったが、食欲が全く湧かないので剥がしたラップを元に戻して出かけた。もちろん会社へだ。ついさっき降りたばかりの車に乗り込みハンドルにもたれかかる。目を瞑り深呼吸をすると体を起こしてエンジンをかけた。
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