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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~

絵美の手には、売店で買ったのであろう焼きプリンがあった。(安くて旨い焼きプリンはすぐに売り切れる超人気賞品)
“ さしいれか… ”
茜は彼女の事情を察した。
「入らないのか?」
「でも…勇気がなくて…」
それはそうだろう、中がこれだけ騒がしければ
「…篠田を呼ぼうか?」
「それはちょっと…。──て、え!? どうして篠田くんってわかったんですか!? 」
「…(汗)」
しまった(汗)
茜が自分の失態を後悔するも遅く、言い当てられた絵美はものすごく焦っている。
「──あ、あのっ、少しいいですか…!?」
「ん?」
絵美は茜の手をひいて、教室から離れたところで声を潜めた。
「わたし篠田くんが好きなんです…!」
「…うん、知ってた(汗)」
「もしかして茜さん、屋上の階段で…」
「……ごめん。聞いてしまったんだ」
茜は素直に白状することにした。そもそも彼女は嘘をつくのが苦手なのだ。
屋上での告白を聞かれていた──?
絵美の顔はますます青ざめる。

