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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~

クールな茜もこのときばかりは気まずくなって俯いていた。
大切な告白を盗み聞きされていたなんて…
誰だって傷つくことだろう。
「お願い茜さん…。あの日聞いたことは誰にも言わないでほしいの……!!」
「──…ああ、言わない。二人が付き合ってるっていうことは私の口からは誰にも…」
「──?? 何言ってるんですか?」
「え、…っ」
「わたしが隠してほしいのは
《篠田くんは男の人が好き》──ってことです!」
「──‥‥」
「…いけない、つい声が大きく…っ」
「・・・・」
「茜さん?」
「──じゃあ、私はこれで」
茜は軽く微笑むと
絵美にあっさりと別れを告げて背を見せる。
ガララッ
「うわあッ!!! 久藤…」
「…バスケで勝ったからと、少し調子にのりすぎじゃないか?1組男子……」
そのまま入った1組の教室を
凍りつくような目でひと睨み
「──…昼食中に机の上に立つとは素晴らしい心掛けだな?騒いでる者はいますぐ全員教室を出て雑巾を持ってこい。すべての机を磨きあげて元どおりに整列させてから怯えて避難した女子たちに後で謝罪しておけ それから ペラペラ ペラペラ──。」
「……な…何言って」
「わかったのか…!!」
「はいぃぃッ」
このあと1組では、騒いだ男子によるミニミニ大掃除が始まったのであった。

