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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~

わたしも着替えをすませた。
化粧を始めていると、
樹ちゃんが荷物を片付けはじめる。
「そうだ、これ。」
樹ちゃんは、紙袋を渡した。
「見てもいいですか?」
「おう。」
紙袋を覗くと、
ラーメンとまんじゅうが入っていた。
「このラーメン、すっごくうまくて。
でも、重かったよ。
おまけに、誰かさんがまんじゅう
頼むから。」
「だって、好きなんです。」
樹ちゃんに頼んだおまんじゅうは、
葉っぱのカタチをしている。
こしあんが定番だけれど、
最近は、抹茶あんやカスタード、
チョコレートクリームなんていうのもある。
樹ちゃんからもらったラーメンは、
有名なラーメンで、
名前だけは聞いたことがあった。
写真では、スープが黒く
濃厚そうだった。
「ラーメンは、わたしのお昼ごはんかな(笑)」
「一人だもんな。」
年末年始、夫と子どもは帰省する。
わたしは、ここ何年も、
ひとりでお正月を迎えていた。
夫の実家に行く気もなければ、
自分の実家に帰るのも厭わしかった。
今年一年、
がんばったご褒美なんだと……
樹ちゃんと過ごす二日間を
毎年、そんなふうに
思っていた。
「いつもありがとうございます。」
わたしは、笑顔でお礼を言った。
「どういたしまして。」
樹ちゃんも笑顔で答えてくれた。
お互いに支度ができた。
チェックアウトの時……。
二人きりの時間が終わろうとしていた。
部屋の外に一歩出れば、
そこから、また、別々の
日常が始まる……。
扉を開けて、外に出ようとする
樹ちゃんに
「待って……。」
と、声をかけて、
唇を重ねた。
「もう……キスできなくなるから。」
わたしは、樹ちゃんを見つめた。
樹ちゃんは、にっこりと笑った。
そして、扉を開けて、
一歩……
前に進んだ。
わたしは、
樹ちゃんの後に続く。
一番、せつない瞬間……。
ご褒美の時間が……、
終わる瞬間。
化粧を始めていると、
樹ちゃんが荷物を片付けはじめる。
「そうだ、これ。」
樹ちゃんは、紙袋を渡した。
「見てもいいですか?」
「おう。」
紙袋を覗くと、
ラーメンとまんじゅうが入っていた。
「このラーメン、すっごくうまくて。
でも、重かったよ。
おまけに、誰かさんがまんじゅう
頼むから。」
「だって、好きなんです。」
樹ちゃんに頼んだおまんじゅうは、
葉っぱのカタチをしている。
こしあんが定番だけれど、
最近は、抹茶あんやカスタード、
チョコレートクリームなんていうのもある。
樹ちゃんからもらったラーメンは、
有名なラーメンで、
名前だけは聞いたことがあった。
写真では、スープが黒く
濃厚そうだった。
「ラーメンは、わたしのお昼ごはんかな(笑)」
「一人だもんな。」
年末年始、夫と子どもは帰省する。
わたしは、ここ何年も、
ひとりでお正月を迎えていた。
夫の実家に行く気もなければ、
自分の実家に帰るのも厭わしかった。
今年一年、
がんばったご褒美なんだと……
樹ちゃんと過ごす二日間を
毎年、そんなふうに
思っていた。
「いつもありがとうございます。」
わたしは、笑顔でお礼を言った。
「どういたしまして。」
樹ちゃんも笑顔で答えてくれた。
お互いに支度ができた。
チェックアウトの時……。
二人きりの時間が終わろうとしていた。
部屋の外に一歩出れば、
そこから、また、別々の
日常が始まる……。
扉を開けて、外に出ようとする
樹ちゃんに
「待って……。」
と、声をかけて、
唇を重ねた。
「もう……キスできなくなるから。」
わたしは、樹ちゃんを見つめた。
樹ちゃんは、にっこりと笑った。
そして、扉を開けて、
一歩……
前に進んだ。
わたしは、
樹ちゃんの後に続く。
一番、せつない瞬間……。
ご褒美の時間が……、
終わる瞬間。

