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喘ぐなら、彼の腕の中で
第8章 2人の夜


「……莉央」


小さい声で呼んでみる。
だけど莉央は私を優しく包むだけで、答えない。


「ねぇ、莉央ってば…」
「ヤりたいなら素直にそう言え」
「……っ」


………言わなくても、分かってるくせに。

タクシーの中とバスルームであんなキスをされて
不覚にもキュンとしてしまう言葉を連発されて

今こうやって抱きしめられていれば

莉央を知った私の体が、どんな状態になっているか
分かってるでしょ……?


「……」


体を捩って、布団の中から顔を出すと
莉央は手の力を緩めて、私を仰向けにさせた。

上半身を起こした莉央に、上から見下ろされる。


「沙月。
俺がお前を抱く条件、忘れたのか?」

「別の女が入ってくるかもしれないし、まさに危機的シチュエーションじゃない」

「………」

「ちゃんと快楽を感じて喘げばいいんでしょ?
あとは莉央の腕次第よ」




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