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喘ぐなら、彼の腕の中で
第8章 2人の夜


小さい頃、私と莉央と翔ちゃんは毎日のように遊んでいた。
翔ちゃんは私の5歳年上で、私にとって莉央と同じ幼なじみ。


………つまり

莉央の3つ年上のお兄さんだ。



「何? もしかしてまだ未練あるわけ?」


その声で横を向くと
頭を起こした莉央が肘をついて、私を見つめていた。


「兄貴、既婚者だぜ。
芹澤を奪うよりよっぽど面倒だと思うけど」

「~~ば、ばか! 違うわよ!!」


プイッと顔を逸らした。

結婚したのだって知ってるっつーの!
うちの家族みんなお祝いに行ったし!


「翔ちゃんに告白して玉砕したあの日以来、泣いてなかったなって話!」

「……」

「それに、私が翔ちゃんを好きだったのって一瞬だったし」

「……一瞬ねぇ……」


莉央はそう呟くと、冷やかな声で続ける。


「確かにそうだった。
この世の終わりみたいに泣き叫んでたのに、2日後にはケロッとしてたもんな」

「……!」

「なんだこの女って思ってイライラした。
マジでうざかった」




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