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喘ぐなら、彼の腕の中で
第8章 2人の夜


目を閉じると、ぼんやりとあの日の場面が浮かんでくる。

今と同じように、泣いた目が痛くて夜中まで眠れなかった。

自分の記憶がある中で、強気な私が唯一泣いたのが………



「……思い出した。
15年前、翔ちゃんに失恋した時だ」



奇しくも同じ、恋に敗れたという状況。

25歳になるまでも、何度も男にフられてきたけど
初恋だったこともあり、10歳の子供ながらに悲しくて、涙が溢れてきたんだ。


「懐かしいね。莉央、覚えてる?」

「………」

「……翔ちゃん、元気?」


目をゆっくりと開けると
莉央も体を回して仰向けになった。


「知らない」

「……!」

「正月以来会ってない」



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