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喘ぐなら、彼の腕の中で
第8章 2人の夜


バスルームから上がって、ドライヤーで髪まで乾かされた。

莉央のパーカーを、ポスッと頭からかぶせられると
そのまま抱えられて、ベッドに放り投げられて・・・今に至る。


「莉央ってば。聞いてる?」


ダブルベッドの端と端。

私がもう一度話しかけると
反対側を向いて寝ていた莉央から、溜息が漏れた。


「何時だと思ってんだよ。
涙止まったならさっさと寝ろ」

「……うん……」


莉央が壁側を向いたままなので、私は仰向けになって薄暗い天井に目をやった。


「……莉央、私ね。
泣いたのが久しぶりすぎて、いつ以来泣いてなかったかなって思い返してたんだ」

「……」

「泣ける映画を見ても、卒業式とか別れの場面でも。
心から感動するし、あ~泣きそうだなぁって思うんだけど、昔から涙にはならないんだよね」

「逞しいな。実は男なんじゃねーの」

「……あんた今男と寝てるってことになるわよ」




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