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喘ぐなら、彼の腕の中で
第8章 2人の夜


「……っん…!」


強く体を引き寄せられる。
激しいキスと抱擁で、体が浮いてしまいそうだ。


「……は…っ…んん…っ」


シャワーの音。
お互いの息使いがバスルーム全体に響く。

濡れた体が熱を帯びて
莉央が唇を離した時に、やっと目を開けることができた。


「……冗談でも、死ぬって言葉を口にするな」


莉央が真剣な目で、私をまっすぐ見るから
止まった涙がまた溢れてきてしまう。


「泣きたいなら泣けよ。我慢するな」
「……っ、嫌……」
「沙月」
「……もう、泣きたくない……」


小さい声で告げると


「学習能力がねぇな。
泣くのを抑えたら、逆に溜まる一方なんだよ」


莉央はもう一度シャワーヘッドを持って
私の髪と体に残った泡を、優しく洗い流した。 


「お前は1人じゃ泣けないんだから。
出せるものは全部吐き出しとけ」

「……っ」

「大丈夫。
また笑えるようになるよ」






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