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喘ぐなら、彼の腕の中で
第8章 2人の夜


突然、顔面に勢いよくシャワーをかけられて
水圧によって莉央が視界から消えた。


「……!! い、いきなり何しゅ…」

「バカかお前は!
失恋したくらいで死のうとするんじゃねぇ!」


は、はぁ!?

頭の上にシャワーのお湯を降らせながら、莉央はもうひとつの手でガシガシと私の髪を揺らす。

あ、洗われてる!?
いつの間にか泡立ちが……ってゆーか乱暴過ぎるんですけど!

目に入って痛いーー!


「なんで私が死ななきゃいけないのよ!」
「今手首切るって言っただろ!」


言ってない!
そんな事するか!

泡が沁みて目が開けられない。
シャワーの音が響くから、お互いに声が大きくなる。


「切らないわよ!
あんな男の為に死んだら一生成仏できないでしょ!」

「お前が幽霊なんて俺まで呪われそうだ」

「~~なにそれ!
てゆーか私死にたくない!!」

「当たり前だ! 死なせてたまるか!!」



ガタッとシャワーが壁に掛けられた音がすると同時に
莉央の腕が私の背中にまわって

─── 唇が重なった。



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