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喘ぐなら、彼の腕の中で
第8章 2人の夜
「御坊ちゃま」
玄関のドアを開けた莉央に向かって、ボソッと言い放った。
「すねかじり」
「かじってねぇよ」
「嘘つき。こんなところ私じゃ住めない」
「賃料高くねぇし」
「はぁ?あんたの金銭感覚が狂ってんの…
……!」
話してる途中で、ぐっと腕を掴まれる。
パンプスとバッグを捨てるように玄関に散らばせて
そのままバスルームへ連れ込まれた。
「脱げよ、全部」
「………!」
莉央は素早く自分のシャツを脱ぎ捨てると、私のブラウスのボタンに手をかける。
……え!?
一緒に入るの……!?
「……っ ま、待って……」
この男の手は、どうしてこんなに器用なんだろう。
私が何もしなくても、次々と服が剥がされていく。
下着も全て取り除かれたところで、莉央が口を開いた。
「今夜は、抱かない」
「……!」
「ボロボロのお前を抱いたところで、なんの意味もねぇからな」

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