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石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
第8章 第二話・参
 優しさと労りのこもった源治の口づけと、欲情に突き動かされ、ただお民の身体を征服することしかなかった嘉門のもの。
 それは、二人の男の違いをそのまま如実に表しているかのようでもある。
 やはり、自分の居場所はこの男の傍しかないのだ。お民は源治の胸に抱かれながら、その想いを改めて噛みしめたのだった―。

 だが。
 予期せぬことがお民の知らぬ間に、次第に進行していた。
 そのことにお民が気付いたのは、水無月の初めの頃だった。お民が嘉門に出合茶屋に連れ込まれ、乱暴されるという事件から三月ほど後のことである。
 三ヵ月前の事件当日の夜、源治にしろ、〝花ふく〟の岩次にしろ、色を失って動転した。それもそのはずで、いつもよりはやや遅れて花ふくを出たはずのお民がいつまで経っても、徳平店に帰らない。業を煮やした源治が迎えにきたところで、初めてお民が帰宅途中にゆく方を絶ったことが明らかになった。
 徳平店の住人たちは夜どおし、心当たりを手分けして捜索した。源治も単身、お民の行きそうな場所はすべてしらみつぶし探した。
 朝になって、番屋にも捜索願いを出したが、お民は見つからなかった。一夜明けた時、源治はお民が何らかの事件か事故に巻き込まれたことを確信しないわけにはゆかなかった。
 その時、既に源治の心には、厭な予感が去来していた。お民の突然の失踪に、あの石澤という旗本が関係しているような気がしてならなかった。仮にあの男がお民を攫ったのだとすれば、お民の生命を取るようなことはしないだろう。―しかし、何が目的でお民を連れ去ったかは、おおよその予想はついた。生命を脅かされることはないだろうが、お民の身が無事で済むとは思えなかった。
 あの卑劣な男は、お民の身体が目当てで、花ふくからの帰り道、お民を連れ去ったに相違なかった。
 源治の予感は計らずも現実となった。お民はやはり石澤嘉門に拉致されたのだ。お民自身は何も語らないし、源治もまた敢えて訊ねないが、翌日の夕刻、ふらりと帰ってきたお民の様子を見れば、何が起きたかは一目瞭然であった。まるで女郎が着るような派手な緋の長襦袢一枚きりの姿で、涙を流していたお民。
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