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第8章 お嬢様は無理難題をおっしゃる

美野里川のリロードは間に合わなかった。
すぐにマシンガンを捨て、背中にかけた狙撃銃を取り出す。
思ったよりも亜人の動きが早く、美野里川は勝てないことを悟った。

「でぁぁぁぁ」

ダーベラの渾身の一撃は狙撃銃を破壊し、美野里川に次々と斬撃を叩きこんだ。
ヒートホークは通常の斧に比べれば、数段軽く、振り回すことが可能だが、ダーベラの早い斬撃に対処することができなくなった。

「やるなっ」

美野里川はポーチから閃光手榴弾プラズを転がした。
ダーベラは敵の不審な動きに気づき、飛び前転をして美野里川から離れた。

そして閃光が迸ったが、光がなくなった瞬間に美野里川の胸に三本もの小剣が突き刺さっていた。
防弾チョッキのおかげで致命傷ではないが鉄板を入れたチョッキではないため、美野里川はその場に仰向けで倒れた。



馬頭は、サブマシンガンのMP5で応戦していた。
接近戦でも使用できるMP５は本来は森の中での戦闘に向いていない。
しかし、拳銃のように使えるサブマシンガンはすぐに弾丸が尽き、背中から対装甲用大剣シュベルトゲベールを取り出した。
ヒートホークと同じく見た目より軽い。
今度は鉄を高熱にするのではなく高温熱エネルギーをアーク放電させた刃だ。

そして馬頭は人間では珍しく盾を装備している攻守対応の盾トリケロス。
クローターのバックラーと同じように盾に武器が仕込んであるのだ。

アズダールの槍は鋭く馬頭を襲うがトリケロスで払いながら、アズダールにトリケロスを向けた、
盾から小さい槍型の吹き矢が５本も放たれ、アズダールに直撃した。

「がっ」

アズダールのレザーアーマーに吹き矢が突き刺さる。
アズダールは後ろ歩きをするようによろけた後に倒れ込んだ。

そしてキルラムの大斧が振りかぶられた。
シュベルトゲベールは斧を真っ二つにし、キルラムを襲ったが、馬頭の顔面にオーガの拳がめり込んだ。

「ぐはぁっ」

馬頭は吹っ飛びシュベルトゲベールが宙を舞った。