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第8章 お嬢様は無理難題をおっしゃる

ダーベラはアズダールに手で指示を示した。
奇襲では、アズダールの精霊魔法が必要不可欠だからだ。

実際にはアズダールは精霊魔法を得意としていない。
炎の精霊を操れたのダーベラの指導と影響があったからだ。

「スプライトよ、アイツ等の瞼を下げ夢の中で遊ぶのだ」
アズダールはむしった草を掌に置いて呟くように詠唱した。


そして、一人の男の視界が暗くなり、脳が見せたのか？
暗い中の小人が無邪気に発した。

「眠れ」

男は抵抗できずに倒れ込んだ。
馬頭である。
だが、それが戦いのゴングとなった。


「馬頭！立った状態で眠っちまうとは」

美野里川は笑って男を指さした。
だが、悪魔は違った、
何かの異変に違和感を感じた。

「これは、草の精の眠りだ。
どっかにシャーマン（精霊使い）がいる。
エルフか？」

サキュバスは、立ち上がって目を光らせた。
その瞬間、飛んできた小剣を腹部に受けてしまった。
素肌であったそこから赤い血がドクドクと流れ落ちた。

「ぐぁぁぁっ」

甲高い悲鳴を上げて、倒れ込んだ。

「サキュバス！　ちぃ」

美野里川は、武器で攻撃されたことから亜人であると察した。
まさか、誘拐した白銀のエルフか、と思った。