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~散花~
第14章 前夜

「では次に門の中をお調べします」
「はい、お願いします」
「ところで、月の穢れはいつ頃おありかな」
「今月は、ちょうど二日前に穢れが明けました」
「ほほう、それはそれは運がおよろしい。せっかくの御寝の日に穢れに当たり、泣く泣く夜伽を辞退した乙女たちを、これまで幾人も見てきましたからなぁ」
言うまでもなく、穢れの五日間は曹司にお籠りが義務である。帝の夜伽に伺候するなど、とうてい許されない。
本当に、わたしは運がいい。
(そういえば…)
席次12番目になってしまったことを悔やんでいた玉蘭に、玲利が「むしろそれくらいのほうが都合良い」と言っていたのを思い出した。
(玲利さまは、そこまで計算してくださっていたのかしら…)
玉蘭は、得意気な玲利の顔を思い浮かべて和んでいた。

