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~散花~
第14章  前夜

「それで、玲利さまがどうなさったの?」

「はい。実は松風殿のお取り壊しが決まりまして…」

「え? 今月末までは松風殿に居られるのではなかったの!?」

玉蘭が詰め寄ると、呂栢も無念そうに口元を歪めた。

「もう数名のお妃方しかいらっしゃらないこともあり、取り壊しの宣命が下ったのであります」

「そう……では、玲利さまは禁城からお出になるのね」

同じ城内にいると思えばこそ心強くもあったのに。

「はい。ひとまず玲利さまは北陸県にある先帝の御陵へおいでになります。しかし既に貴人の位階返上を朝廷に上申しておりますので、それが受理され次第、再び都にお戻りになる予定とのことです」

「そう…北陸県へ…」

都から馬車で七日はかかる場所だ。

「范貴人さまは、玉蘭さまがお妃宣下をお受けになるのを心より楽しみにしていると仰っていました」

――そして私を後宮に呼んでね

玲利の声が蘇る。

「わかりました。わたし、全力で明日の夜伽に臨みます。そう、玲利さまに伝えていただけますか」

「はい。確かに承りました」




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