パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第3章 弟の会社

カチャッと玄関から音がする。

琉が帰宅したのだろう…そう思い、翔がそちらに目を向けた瞬間、

ガタンッ

愛里咲の身体がグラリと倒れ込んだ。


「愛里咲ちゃん？ 大丈夫？」

覗き込んだ顔は真っ青で、思わず引き寄せた肩は小さく震えていた。


「愛里咲？」

間近で聞こえた琉の声に、翔と愛里咲の身体がビクッと震える。

慌てて愛里咲から離れる翔。

愛里咲も、無理矢理笑顔を作る。


「おかえり…今夕飯の支度を…」

そう言って立ち上がり、大きくふらつく愛里咲の身体を、翔よりも速い動作で琉が支えた。


「夕飯なら自分でやるからいい。ちょっと来い」

不機嫌にそう言い放ち、琉は愛里咲の身体を支えたまま部屋へと連れて行く。


ベッドに座らせた愛里咲の前に、琉がしゃがみ込む。

「大丈夫か？」

「…うん」

頷いた愛里咲の顔は、とても大丈夫そうには見えない。


「愛里咲？」

俯く青白いその顔を、琉は強引にグッと持ち上げる。

目が合えば、その瞳に一気に涙が溜まる。

「…琉ちゃ…」

クシャッと顔を悲痛に歪め、愛里咲は琉の身体に腕を回して抱き着く。

小刻みに震えるその身体を、琉はギュッと抱き締めた。