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コンプレックス
第3章 弟の会社

「ただいま……」
いつも無言で帰宅していたのが、ここ1ヶ月で当たり前にそう言うようになった。
「おかえりなさい。……何か疲れてますね」
癒される笑顔が出迎えてくれる。
でも、愛里咲に心配される程に、
翔の心には昼間の白取との出来事が重たくのしかかっていた。
「それがさぁ、今日から琉んとこの子会社と取引が始まったんだけど、そこの担当がめちゃくちゃ嫌な奴でさ!」
リビングへと一緒に歩きながら、翔の口からは愚痴が零れる。
「自分の中の嫌なやつと名前と顔が似てるとかですげー態度悪いの」
「子供みたいな人ですね」
弟の嫁に愚痴るなんて情けないと思いながらも、相槌を打ってくれる愛里咲に嬉しくなる。
「ホントだよ! 槙野さんなんて、パンツスーツじゃなくてミニスカートで来いとか怒られてさ」
「えー、何それ! セクハラじゃないですか⁈ 」
琉と同じ会社で働く愛里咲なら知っているかもしれない。
そう思い、翔の口が滑る。
「ホントだよ! そいつ、白取って言うんだけど、愛里咲ちゃん知ってる?」
「しら…と、り……」
白取の名前を聞いた途端、
スーッ…と、愛里咲の顔から血の気が引いていった。
いつも無言で帰宅していたのが、ここ1ヶ月で当たり前にそう言うようになった。
「おかえりなさい。……何か疲れてますね」
癒される笑顔が出迎えてくれる。
でも、愛里咲に心配される程に、
翔の心には昼間の白取との出来事が重たくのしかかっていた。
「それがさぁ、今日から琉んとこの子会社と取引が始まったんだけど、そこの担当がめちゃくちゃ嫌な奴でさ!」
リビングへと一緒に歩きながら、翔の口からは愚痴が零れる。
「自分の中の嫌なやつと名前と顔が似てるとかですげー態度悪いの」
「子供みたいな人ですね」
弟の嫁に愚痴るなんて情けないと思いながらも、相槌を打ってくれる愛里咲に嬉しくなる。
「ホントだよ! 槙野さんなんて、パンツスーツじゃなくてミニスカートで来いとか怒られてさ」
「えー、何それ! セクハラじゃないですか⁈ 」
琉と同じ会社で働く愛里咲なら知っているかもしれない。
そう思い、翔の口が滑る。
「ホントだよ! そいつ、白取って言うんだけど、愛里咲ちゃん知ってる?」
「しら…と、り……」
白取の名前を聞いた途端、
スーッ…と、愛里咲の顔から血の気が引いていった。

