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第3章 弟の会社
気持ちの切り替えが出来ないまま日は過ぎ、
翔と渚は、琉の会社の子会社である新しい取引先へと来ていた。


目の前には、翔の名刺を見ながら憮然とした顔の中年男。

「白取さん、失礼ですよ!」

白取と呼ばれた中年男性を諌めるのは、翔と歳の近そうな爽やかな青年。
先程の自己紹介で、畑山[はたやま]と名乗った。



「嫌なやつと名前と顔が似てる」

一方の白取は、名刺と翔を交互に睨み付けそう呟く。


(感じ悪いな!)

嫌なやつと名前と顔が似ているだけでこの態度…

怒りに歪みそうになる顔を、翔は必死に営業スマイルに保っていた。


「あのさ、普通スカート履かない?」

渚の足元…パンツスーツを指差し、白取は不機嫌そうに言う。

「すみません…」

震える声で渚が謝る。

「次からはスカートで来るように。ミニね‼︎ 」

泣きそうな顔で固まる渚。

庇うように隠すように翔がスッ間に入れば、白取はあからさまに翔を睨みつけた。


畑山が必死に取り成しどうにか一回目の交渉を終えたが、この白取の存在にこれから絶対苦労させられるであろうと、誰もが重い気持ちで大きなため息を吐き出していた。


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