この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
コンプレックス
第9章 弟の元カノ

ベビーカーから感じる視線に、愛里咲はハッとして顔を上げる。
今にもため息を吐きそうに呆れたような顔を向けるベビーカーの中の陽花。
その顔はまるで琉がそこにいるかのようにそっくりで…
”面倒なのが増えたな。帰るぞ”
今にもそんな声が聞こえてきそうだ。
(元はと言えば、琉ちゃんが芙由ちゃんを助けたり、芙美ちゃんと付き合ったりしたせいでしょ!)
陽花越しに琉に向けて心の中で文句を言えば、口元が綻ぶ程度の余裕も出てくる。
「あ、あの、芙美ちゃん……コレ、芙由ちゃんに返してもらえますか?」
愛里咲は、ベビーカーにぶら下げていた芙由のくれた財布の入った紙袋を芙美に向けて差し出す。
「何? プレゼント?」
紙袋を受け取り、躊躇なく包装を解いていく芙美。
「あ、うん。琉ちゃんにくれたんだけど、受け取るつもりがないみたいで…」
「高校生の小遣いじゃ安物しか贈れないからね〜」
愛里咲の言葉に、芙美は箱から取り出した新品のお財布を手に取って嘲笑った。
「いえ!金額の問題ではなくて…」
「あはは、既にストーカー化してる? なら処分してくれていいのに」
そういう訳には…と言葉を濁す愛里咲。
今にもため息を吐きそうに呆れたような顔を向けるベビーカーの中の陽花。
その顔はまるで琉がそこにいるかのようにそっくりで…
”面倒なのが増えたな。帰るぞ”
今にもそんな声が聞こえてきそうだ。
(元はと言えば、琉ちゃんが芙由ちゃんを助けたり、芙美ちゃんと付き合ったりしたせいでしょ!)
陽花越しに琉に向けて心の中で文句を言えば、口元が綻ぶ程度の余裕も出てくる。
「あ、あの、芙美ちゃん……コレ、芙由ちゃんに返してもらえますか?」
愛里咲は、ベビーカーにぶら下げていた芙由のくれた財布の入った紙袋を芙美に向けて差し出す。
「何? プレゼント?」
紙袋を受け取り、躊躇なく包装を解いていく芙美。
「あ、うん。琉ちゃんにくれたんだけど、受け取るつもりがないみたいで…」
「高校生の小遣いじゃ安物しか贈れないからね〜」
愛里咲の言葉に、芙美は箱から取り出した新品のお財布を手に取って嘲笑った。
「いえ!金額の問題ではなくて…」
「あはは、既にストーカー化してる? なら処分してくれていいのに」
そういう訳には…と言葉を濁す愛里咲。

