この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
助教 沙霧
第8章 仮面の日常(2)
 事務局での仕事を終え、夕暮れ時の誰もいない研究室に戻ると、沙霧は力なく椅子に崩れ落ちた。

 仮面を維持するエネルギーが、急速に失われていく。
 沙霧はスマートフォンを取り出し、ブログの管理画面を開いた。
 誉からの新しいコメントはまだない。しかし、彼女は返信を書き始めた。昨夜の「いとなみ」の直後、闇の中で綴りかけた言葉たちが、今度は理性という名のフィルターを通って、より歪んだ、しかし真実を孕んだ形へと再構成されていく。

『……仰る通り、檻は私の内側にあります。しかし、その格子に指をかけ、引きちぎってくれる誰かを、私はどこかで待ち望んでいるのかもしれません。師と呼ばれることに、これほどまでの恐怖と、……そして、名状しがたい甘美さを覚える自分を、私は許せずにいます』

 送信ボタンを押す直前、彼女は一瞬だけ躊躇した。
 これを送れば、もう「ストイックな研究者」のフリは続けられないかもしれない。誉は、この一文を合図に、私の城壁の中に土足で踏み込んでくるだろう。
 
 だが、彼女の指は、吸い寄せられるように画面をタップした。
 
 送信完了

 その瞬間、研究室の静寂の中に、自分の心拍だけが不気味なほど大きく響いた。
 窓の外、沈みゆく夕日が、多紀理の全身を血のような赤で染めていた。
 
 沙霧は、デスクの上に突っ伏した。

 自分の物語が、自分もとまどうほどあってはならない方向に、残酷に、しかも急速に進んでいく予感。それは、恐ろしいほどの恐怖であり、同時に、震えるような快悦でもあった。
/37ページ
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ