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Mの誘惑 -封じ込めた告白-  和田みさき著
第8章 落ちて行く私
 秋の黄昏どきは、夕食の仕込みをしたあと、リビングで静かに本を読んでいたはずだ。数か月も過ぎていないのに、このようなステ-ジで、あろうことか数十人の見つめる前で一糸纏わぬ姿になっている。堂々といられるはずがない。腕で乳首を隠し、指輪のある手指で恥部を隠した。それでも、むっちりと熟れた尻や、美しい曲線を描く背中や、肉感的な足に視線が注がれ、私は闇雲に身を躍らせる。これまでは、少なくとも 半ば強制的に遣らされていた。しかし、今はどうなのか。どこまでを強要されたと言えるのか。自分の手で露わにした肩先から、膝から、背筋から、身体の出っ張った部分から快美の火花が散る。あらゆる窪みはレンズのように視線を集めて身体の奥を焦がしていく。辱めに遭うのは嫌だったはずなのに、今だって泣き出しそうに悔しいのに、こんな過酷な状況にあって、負の感情の大きさと裏腹に、性的なうれしさを覚えた肉体だけが勝手に歓喜している。
「はぁぁいっちゃうぅッ!」
不意に、身体という器から愉悦があふれてガタガタと痙攣した。絶頂に達したと表現するよりも、失禁してしまったような心地になり、私は恥ずかしさに放心していた。客席からは、「おぉ」と声ならぬ歓声が上がった。
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